1 セブンチェアの構造
先日のリメイクのお客様から、セブンチェアの修理を依頼されました。
ネットで調べてみると、脚を座面に固定している中央のプラスチックの部分が外れる、という故障が頻発しているようです。
今回は、故障の原因と、修理の過程と費用等について解説していきます。
まず、セブンチェアとはアルネ・ヤコブセンによってデザインされたフリッツ・ハンセン社のベストセラーです。
構造としては金属製の脚が座面裏に接着されているプラスチックのパーツに取り付けられていて、座面と脚の中間にゴム製のショックマウントと呼ばれるものが取り付けられています。
プラスチックのパーツは座面に中心のネジ一本と接着剤のみで取り付けられており、これが外れるという故障が頻発しているようです。ネジは中心を決めるためのもので強度にはそんなに関係ないみたいです。
2 故障の原因
故障の原因としてまず考えられるのが、ショックマウントのずれです。
ショックマウントは座面と脚に挟まれて止まっているだけで固定されてないので、これがずれるとテコの原理によって大きな力がプラスチックのパーツを外す方向に働いてしまいます。
長年使っているとこれがずれてくることは十分考えられますのでご注意下さい。
それがずれてなくても日々少しずつ加わる力が、劣化した接着力を奪っていき、どこかで外れるのがこの椅子のパターンのようです。
ここの部分をいかに強力な力で接着するかが、修理のキーポイントになります。
3 セブンチェアの修理(木でパーツを作るパターン)
修理の方法としては2通りあって、1つはプラスチックのパーツをそのまま利用する方法で、もう1つは木で新しくパーツを作るという方法です。
プラスチックのパーツに問題なければそれをそのまま利用して問題なく、それが破損している場合や最強の強度を求める場合は木で新しくパーツを作ることになります。
今回は最強の強度を求めるのと、経験も兼ねて、木でパーツを作ってみました。
まず、座面裏についている接着剤を丁寧にノミ等で取ったあとに、ペーパーなどで平滑に仕上げていきます。
真ん中がネジが外れて破損していたのでエポキシ樹脂で埋めました。
プラスチックのパーツと同サイズのものを木で作り、座面取り付け用の穴を開けて、脚取り付け用のナットを埋め込みます。
そして木工用最強ボンドの2液性PIボンドを塗布して座面にネジ留めします。
座面が薄いのでネジは6mmほどだけ入るようにしてますが十分効きますし、あくまで接着力のメインはボンドです。
プラスチックのカバーをはめるためのミゾも側面に掘っています。
脚をネジで留めて、カバーを取り付けて完成です。ネジ山がつぶれているように見えますが、これは星形のトルクスというネジで、専用のドライバーが売ってます。
4 セブンチェアの修理(プラスチックのパーツをそのまま使うパターン)
プラスチックのパーツをそのまま使う場合は、2液性エポキシ樹脂とネジで留める、という方法が良いと思います。
パーツの周辺近くにネジ穴を6つほど開けて、エポキシで接着するとともにネジで留めると、最初の状態よりは高い強度は期待できます。
エポキシ樹脂は50年は劣化しないと言われている最強接着剤で、プラスチックと木の接着には最適だと思われます。
これで、ショックマウントのズレに注意して使ってる限り再故障はないでしょう。
5 修理の費用
今回、セブンチェアを修理する2つの方法を紹介しました。
プラスチックのパーツに破損などなければそれをそのまま利用して、破損している場合やより高い強度を求める場合は木のパーツを新たに作るという方法です。
プラスチックでも十分な強度は期待できるとは思いますが、木と木の接着力はそれを上回ります。
費用は下記のようになります。(税込)
・プラスチックのパーツをそのまま使う場合 8,000yen
・木のパーツを新たに作る場合 10,000yen
店舗か工房に持ち込み、お渡し価格になります。
ご自宅まで伺って引き取り、お渡しする場合は、場所によって配送料を頂きますのでお問合せください。
発送での修理をご希望の場合は実費負担して頂ければ可能ですので、事前にご相談ください。
セブンチェアの修理としては、最安価格と言っても良い価格だと思いますので、ぜひご検討ください。